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この記事では「2019年から相続の民法が改正になったと聞くが、どんな影響があるのか分からない」「自分のケースが民法改正の影響を受けるのかが知りたい」という方のために、分かりやすい事例を出してご紹介しています。民法改正には細かな規定や判定が難しいケースもあるため、専門家からより詳しいアドバイスを求める際の判断材料としてご活用ください。
 

民法改正が相続手続きに与える影響とは

昭和55年の改正を最後に、40年近く続いてきた現行法は、時代の流れに合わない点も多く指摘されていました。特に2018年に成立し、2019年より順次施行されている相続に関する民法改正では、以下のような点が影響すると予想されます。
 

遺言に関する影響

自筆証書遺言を作成する際、これまでパソコンの使用は認められず、すべて直筆で作成する必要がありましたが、2019年1月13日の改正施行により、財産目録については署名押印があればパソコンを使用して作ってもよいことになりました。
また、遺言書の保管についても法務局へ保管申請が可能(2020年7月施行予定)となるため、紛失や盗難、改ざんのリスクが避けられます。遺言で指定する遺言執行者の権限についても、他の相続人への通知や遺言内容を実現するための権利といった部分が明確です。
これまで遺言を作ってもうまく行使できるのか、作成にかかる時間や労力といった点でハードルの高さを感じていた人にとっては、この改正で遺言書を作成しやすくなるでしょう。
 
民法改正の影響が想定される事例:
・遺言に記載する財産目録が多岐に亘るため、パソコンによる表作成で書き間違いによる無効を回避した
・不動産の全部事項証明書や通帳のコピーを財産目録に添付し、財産目録作成の手間を軽減した
・遺言執行者の権限明確化により、遺産に関して中立的な立場の人を安心して執行者へ指定できるようになった
 
民法改正により、自筆遺言の有効性を高めたり、作成の手間を軽減したりすることはできるものの、相続発生の際に遺言が無効となる可能性を避けたいのであれば、専門家の助けを借りて作成するのが望ましいでしょう。
 

故人のお世話に尽力した人に関する影響

介護や療養、ビジネスに関するサポートなどで故人に大きく貢献した親族は、法定相続人でなかったとしても、民法改正で2019年7月1日より相続の際に金銭請求することが可能となります。

民法改正による影響が想定される事例:
・存命中要介護であった被相続人の希望により、次男夫婦が介護を行っていた。被相続人が生存中に次男が亡くなり、以降は次男の妻が1人で介護を続けた。被相続人の死後、現行法では次男の妻に遺産分配の権利は認められなかったが、民法改正により特別寄与料として金銭請求ができるようになった。
 

配偶者の自宅居住に関する影響

今回の民法改正に関する大きなポイントの1つが「配偶者居住権」です。配偶者居住権とは、被相続人名義の自宅に一緒に住んでいた配偶者について、被相続人の死後も住宅として引き続き無償で居住できる権利として新設された制度のことで、2020年4月1日より施行されます。
配偶者居住権を適用した住宅は勝手に売却することができなくなるため、故人の配偶者は安心して生涯自宅へ住むことが可能となります。

民法改正による影響が想定される事例:
・2020年5月に被相続人が亡くなり、2,000万の自宅と2,000万の預貯金の相続が発生して配偶者と子1人で分割することとなった。現行法では配偶者と子の相続分は等分であるため、2,000万相当を子へ分配するにあたり、すべての預貯金を手放す必要があった。民法改正後は1,000万の配偶者居住権と負担付き所有権とし、自宅に住みながら預貯金も1,000万ずつ等分することができた。
 

預貯金の引き出しに関する影響

故人名義の銀行口座から勝手な払い戻しを避ける目的で、相続が発生した旨を銀行へ連絡するとその口座は凍結されることになります。現行法では、その後葬儀費用や故人に関わる支払いなどが発生した場合、遺産の分割が完了するまでは払い戻しが受けられませんでした。
2019年7月1日からは、葬儀費用などの限定された使途に限り、家庭裁判所の判断を仰がずに一定額の払い戻しが受けられるようになっています。
 
民法改正による影響が想定される事例:
故人名義の1,000万残高のある銀行口座について、長男と長女の間で遺産分割の手続き中に葬儀費用の支払期限が近づいてきたため、長女が必要書類を準備して銀行へ行き、100万円の払い戻しを受けて支払った。
 

民法改正による相続の影響を考える前に知っておきたいこと

新しい民法改正では、上記のような制度や事例が想定されますが、民法改正による相続への影響を考える前に、以下のような点もチェックしておきましょう。
 

配偶者の特別控除額

そもそも相続において、配偶者には特別控除額が設定されており、1億6千万円までか、配偶者の法定相続分のうち、どちらか多い方までは相続税が非課税となります。たとえば、民法改正の中で「20年以上の婚姻期間がある夫婦間の居住用住宅の贈与に関する優遇措置」
という制度があります。夫婦間で行った生前贈与は遺産の先渡しとみなされない、という点だけを見て、慌てて生前贈与の手続きを進めてしまうと、特別控除で非課税となるはずの住宅について贈与税や不動産取得税を払わなければならない可能性もあるのです。
また、「我が家は1億6千万もの遺産はないから相続手続きは必要ないだろう」と考えるのも早計です。特別控除は確定申告時と同様、申告をすることによって適用されるため、相続が発生したら手続きについては必ずチェックすることが大切です。
 

配偶者居住権を適用した場合の評価額

配偶者居住権を適用した住宅については「故人の配偶者が生涯自宅として利用する」という目的に限定されるため、不動産の評価額も低く抑えられます。評価額に比例して納める税金も抑えることができますが、将来的に老人ホームや介護施設などを利用する予定がある場合、簡単な売却が難しく入所費用が作れない、といったケースも考えられます。
また、自宅が1人暮らしには広すぎる場合にも、配偶者居住権を使わず売却して新しい住居への転居費用に充てる方法もあるでしょう。
 

相続人との間における影響

相続に関する民法改正は、基本的に親族間のトラブルやコミュニケーションが取りづらい時に、相続人を守るという目的もあります。相続税や贈与税、不動産取得税や登録免許税といった各種税金の比率、特別控除や優遇措置といった制度を利用するメリットについてよく調べるのはもちろんですが、被相続人側または配偶者側の親族に問題のある人がいる場合や、子ども同士の仲が悪い場合などには、公平かつスムーズに相続手続きを進められる選択肢についても考慮する必要があるでしょう。
親族間のトラブルについては弁護士が、不動産登記については司法書士の力を借りつつ、税制のプロで、特に相続手続きに詳しい税理士のアドバイスを参考に、最善の方法を選ぶのが望ましいといえます。
 
民法改正による相続への影響はメリットとなるケースが多い反面、相続状況によっては制度を適用しない方がよい場合もあります。法人税に詳しい税理士はたくさんいても、相続税に強みのある税理士は少ないものです。相続上の不安や悩みは、弁護士や司法書士などと連携を取りつつ民法改正も含めた相続の相談に乗ってくれる税理士事務所の無料相談を試してみるとよいでしょう。

 

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